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乃木坂46 18thシングル「逃げ水」について

サックス講師の谷村庸平です。

楽曲提供させて頂いた、2017年8月9日発売の乃木坂46 18枚目シングル表題曲「逃げ水」について。楽曲について(特にサビ前のブレイク)よくご質問頂きましたので、19thが出る前に解説させて頂こうかと思います。

まず楽曲全体のイメージについてですが、夢の中にいるような幻想的な雰囲気を出したかったので、同じフレーズを繰返すループや硬めのシンセの音を多用する一方、ピアノやアコギ、エレキギターなどの生音を混ぜる事で爽やかさや郷愁感が出る様にしました。表題曲なのである程度の派手さは必要なので、最初のデモよりも若干テンポを上げて、シンセベースやキックの音は実は結構アグレッシブな音を使っています(沢山の音が混ざる事でそれらが柔らかい印象になるのが音楽の不思議で奥深い処ですね)。

またメロディは歌いやすいシンプルさを心掛け、コード進行も基本的にはダンスミュージックの手法で少ないコードを繰返すようにしました。コード進行は、解決するコードによってメジャーにもマイナーにも聴こえる進行にしている事もこの曲の幻想的で暖かなイメージの重要な要素になっています。最初のコードが4度から始まるのも、ふわっとした感じを出していると思います。

Bメロは曲に展開とメリハリを付ける為と、聴きやすさを出す為に耳馴染みの良いIV-V-III-VIの進行を使っています(このコードも実は解決するコードによってメジャーにもマイナーにも聴こえます)。サビに突入する前に軽く転調させて違和感を作り出しています(この曲の場合更なる違和感が次に来ますが笑)。そしてサビのコード進行はAメロで2小節ずつで使われているコードを1小節の長さにして使い、Aメロよりも少しだけスピード感が出る様にしています。

そしてこの曲のキモであるサビ前のブレイク「月の光」ですが、デモの段階で既に入っていました。サビ前にハッとさせる、時間が止まったような演出をしたいと考え、そこで「月の光」の一節を入れようと考えました。ギャップを出せる曲、静かで幻想的で美しいメロディ、更に言えばジャズとクラシックの橋渡し的な響きを持った曲「月の光」でした。もちろん私がこの曲が大好きな事も大きな理由です。曲の本編と「月の光」のキーが違う事もハッとさせる要因のひとつです。

またここはあまり指摘されなかった部分ですが、実はAメロの後ろでも「月の光」はずっと鳴っています。コード進行に合う様に移調とリハモはしていますが、ピアノで「月の光」のモチーフはずっと流れています。更に言えば、Dメロ後の落ちサビの駆け上がるピアノのフレーズも、「月の光」の途中から左手の激しくアルペジオを弾く部分をオマージュしています。

もちろんサビ前のブレイクについてはかなり大胆だし、賛否両論巻き起こる事は予想してました。作家仲間の間でも「やっちまったな」なんて言われたりもしましたが笑。ただこの曲のデモをドラマ「徳山大五郎を誰が殺したか」や「豆腐プロレス」などでお馴染みの脚本家、徳尾浩司さんに聴いてもらったとき、ブレイク部分でニヤッとしながら「ここは演出家の腕の見せ所ですねえ!」と面白がって頂いたときに、いけると確信しました。またイントロのフレーズは実は自分的にあまり気に入っていなくて何度も作り直したのですが、最終的にリリース時に最初のフレーズに戻りました。結果的に好評価頂けてとても良かったです。嬉しいです。

変な曲である事は自覚していますが、変革を恐れては新しい物は生まれてこないっ!て事で僕なりのやり方でチャレンジさせて頂きました。秋元康先生に本当に素晴らしい歌詞をつけて頂き、多くの人に聴いてもらって曲に命を吹き込んでもらえ、とても嬉しいです。来月には新曲が出ますが、引き続き聴いてもらえたらと思います。

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